「どんなに悪くてもイタリアくらい」と思えるか

それでは、あらためて最新のグラフを見ていきます。星印がつけられているのは、全国的なロックダウンが行われた日です。

イタリアは減速傾向がはっきりしてきました(DT=13日)。被害が拡大したのは、死者10人を超えてからロックダウンまで15日間かかっているからでしょう。

スペインはロックダウンの判断はイタリアより早かったものの、立ち上がりの増加率が大きかった(グラフの傾斜が急だった)ため発散し、イタリアを超える大きな被害を出すことになりました。3月8日にマドリードで国際女性デーの12万人パレードを行ったことが影響していそうです(DT=8日)。

それ以外のヨーロッパの国は、ほぼ同じ傾きの立ち上がりです。チャートを見るかぎり、フランス(DT=4日)、イギリス(DT=3日)、ドイツ(DT=4日)は今後、イタリアとほぼ同様の経過をたどりそうです。現在のイタリアが2~3週間後のヨーロッパの姿です。

ヨーロッパの状況が比較的落ち着いているように見えるのは、イタリアを見てロックダウンに効果があるとわかったことと、今後の状況が予測できるようになったからではないかと思います。「いったい何が起きるかわからない」という不安と、「どんなに悪くてもイタリアくらい」と思えるのではまったくちがいます。イタリアは甚大な被害を出しましたが、後続のヨーロッパ諸国に大きな貢献をしました。

この数日で新規感染者が増えはじめた日本

アメリカの状況は、ニューヨークタイムズが州別の累積死亡者数チャートを公開しています。

州にカーソルを当てるとDTが表示されますが、ニューヨーク(DT=3日)だけでなくニュージャージー(DT=3日)、マサチューセッツ(DT=3日)、コネチカット(DT=3日)など東部全域で死者数が指数関数的に発散しています。ミシガン/デトロイト(DT=4日)、イリノイ/シカゴ(DT=3日)、ルイジアナ/ニューオリンズ(DT=5日)などでも急速に感染が拡大しており、その他の州が追随しています。アメリカ政府は死者の予測を10万~24万人に上方修正しましたが、これは誇張ではありません。

死亡者累積チャートは遅行指標なので、過去の感染状況はわかっても現在の状況を把握できません。そのためにはやはり、感染者(陽性者)数を見るほかありません。

下記はFTの統計チームが新しくリリースした新規感染者推移チャートです。最初に述べたように、国によって検査のやり方が異なるために絶対数を比較することは意味がありませんが、検査手法が一貫していれば傾向を知ることはできます。

日本はこの数日で新規感染者が増えはじめており、初期のヨーロッパと同じ状況です。ほとんどの国がロックダウンしていますが、先進国のなかで唯一、韓国は強硬措置を回避しつつ感染を抑え込むことに成功しました。台湾もロックダウンせずに感染を抑制しています。状況はきびしいものの、「日本はもう終わりだ」とか「東京を封鎖すべきだ」との極論は不要です。

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