信長だけではムリ? 天下統一には「秀吉」が必要だった

ただ信長にも欠点はありました。残念ながら、そこも私は似てるなあと感じます。権限は与えるけれど、成果が出ないと見切りをつけるのも早い。「やると言ったのに、なんでせえへんの」という感じで、具体的に言えば、ダメなら躊躇なく降格させる。

「これを実現しますから、報酬はこれだけください」とか「権限をください」と要求してくる、イキのいい人が私は好きなんです。ただ、実際にはできない人のほうが圧倒的に多い。

そういった評価は2カ月くらいで定まります。ですから幹部社員として中途採用した人ならば、試用期間内にダメならダメと告げたほうが、お互いに幸せだと思うんです。何年も引っ張ってからダメ出しするよりも、2カ月で結果を出したほうがましですよ。だから、「冷たい」とか「1年くらい待ったほうがいい」と言われることもありますが、それができない。

では、どうしたらいいか。

信長が天下を取れたのは、部下に豊臣秀吉がいたからだと思います。秀吉は人の動かし方がうまい。性格が明るくて、インセンティブを与えて上手に人を動かすことができる。

そうした自分にはない才能を見出したから、信長は秀吉を重用したのです。信長と秀吉は相性がよかった。私のところも、何人かは秀吉のような人が育ってきているので、ある程度は彼らに任せて、その先は言わないように一所懸命心がけています。蜂須賀小六が信長には仕えないけれど、秀吉には仕えたように、私の下では育たない人が、そこで育ってくれるかもしれません。

若いころの信長は「全部自分でやる」タイプ。戦に出陣するにも自分一人で真っ先に駆け出すようなことをしていましたが、天下統一が視野に入ってきたころから、何人かの家臣に大きな権限を与えて任せるようになります。

実は出前館も今、その段階に入っています。宅配代行のサービス網をつくっているんですが、現在全国に260の拠点があります。これを3年以内に500に増やします。だからこの3年が勝負です。3年後にウチが消えているか、それとも電気や水道と同じような社会のインフラに育っているか。

この戦いに勝つために、今は何人もの「秀吉」が必要なんです。

(構成=石川拓治)
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