お土産ランクのトップ10に入る高級グミ
「ヒトツブカンロは、2012年6月に1号店を東京駅グランスタ(GRANSTA)店にオープン。2015年4月には大阪ルクア イーレ(LUCUA 1100)店もオープンしました。東京駅と大阪駅に直結した両店とも好調で、出張帰りのギフトでもご利用いただいています。今回の新宿ミロード店は初の路面店で、お店の人気ナンバーワン商品『グミッツェル』に注力しています」
カンロの執行役員・内山妙子氏(コーポレートコミュニケーション本部長)はこう話す。グミッツェルは焼き菓子のプレッツェル型のグミで、パリッとした食感が特徴だ。新宿ミロード店は、グミッツェルのイラストを店舗外面にも描いた。内山氏ら関係者の襟元にも、同商品を模したピンズ(徽章)が光る。
「ヒトツブカンロ」の店名には、1粒のキャンディをギフトや自分買いで楽しんでほしい思いを込めた。その代表例であるグミッツェルは、東京駅グランスタのお土産ランキングトップ10に入り、現在まで累計約600万枚を販売。最も高いものは30個入り3800円で、新宿ミロード店では1個から購入可能だ。
6個入り 800円
12個入り 1550円
30個入り 3800円
新型コロナウイルスの影響以前は、観光客や出張帰りの会社員がお土産で買うことが多く、小分けのものは若者が購入するケースも目立ったという。
「アメ」の会社が、なぜグミにも進出するのか
1991年に入社した内山氏は、もともとデザイナーだった。その後にマーケティング畑を歩み、2012年に創業100周年を記念した直営店事業「ヒトツブカンロ」立ち上げにも参加。新CI(コーポレートアイデンティティ)導入のプロジェクトリーダーを務め、2018年1月から現職に就いた。関係者一丸となった活動だろうが、随所に「デザイン視点」が組み込まれている。
後で述べるが、拡大するグミ市場の大半は小売店で気軽に買える「ふだん使い」。カンロも「ピュレグミ」というブランドで訴求を行う。
これに対して、グミッツェルは贈答用だ。屋台骨であるアメ(飴)にも注力しつつだというが、なぜカンロ飴の会社が、アメとムチならぬ「アメとグミ」なのだろうか。
アメの売り上げが減る一方で、グミ市場はぐんぐん拡大
菓子市場における「飴菓子」は大きく、(1)飴、(2)グミ、(3)錠菓に分かれる。錠菓とは「ミンティア」(アサヒグループ食品)などのタブレット菓子だ。
飴菓子としての市場規模は、小売り金額で約2680億円、生産金額で約1950億円となっている(全日本菓子協会調べ。2018年)。近年の市場動向は(1)が減少、(2)は伸長、(3)は拡大したが伸びがとまりつつある――と聞く。
その内訳は調査結果で異なるが、ここでは調査会社のインステージ(SRI 組成別市場 販売金額)の数字を紹介しよう。それによれば、2007年と2019年を比較すると、(1)が899億円→777億円、(2)が237億円→424億円だった。12年で、(1)の飴は約14%市場が縮小し、(2)のグミは約80%市場が拡大した。この大半は、一般小売店で買える商品だ。