ちなみに競合も含めた「グミの売れ行きベスト3」はこうなっている。

(1)「果汁グミ」(明治/シェア15.2%)
(2)「ピュレグミ」(カンロ/同9.8%)
(3)「フェットチーネグミ」(ブルボン/同7.5%)

※2019年4月 インテージSRI:SUPER+CVS+DRUG/全国の調査データ

グミの好調さを実感するのが、コンビニの売り場だ。一等地と呼ばれる“レジ前”でも陳列幅を広げた。社会人が仕事中の小腹を満たす、“大人おやつ”としても人気だ。この成長市場の風に乗り、さらなる事業拡大の思いもあるだろう。

100年以上前に創業して以来、「飴玉」の代名詞に

現在、カンロの業績は順調だ。2019年12月期の売上高は240億円を超え、3期連続で過去最高を記録した。

事業全体に占める飴の割合は約65%(156億円)で、グミは同29%(70億円)、これ以外に「茎わかめ」などの素材菓子が同6%(14億円)となっている。まだ事業の3分の2を「飴」が占めており、これは同社の祖業だ。

カンロは1912年に山口県で宮本政一氏が「宮本製菓所」として創業。世間一般の認知度を得たのは、戦後に同氏が手がけた「カンロ飴」販売(1955年)で、1957年には東京での販売を開始。1960年代から70年代にかけて、“飴玉”の代表商品となった。

今回、筆者も小売店で購入した「カンロ飴」を口にし、イメージを高めながら本稿を執筆した。砂糖と水飴、しょうゆ、食塩を原材料にした日本人にはなじみ深い味だ。ロングセラーブランドだが、最近の若者には「聞いたことがある」「親が好きだった」といった存在か。前述の原材料にリニューアルしたのを機に、新たな顧客を開拓する段階だろう。

同社は“カンロ飴一本足打法”ではなく、1981年にはハーブのパッケージデザインで知られる「健康のど飴」も発売(2018年に刷新)し、ハーブ事業は柱のひとつとなっている。

その会社が「ピュレグミ」でグミ市場に参入したのは2002年。2008年にはグミ市場のトップにたったこともあったが、現在は前述のように2位ブランドだ。

働く女性に支持される「仕事のおやつ」

グミは、1920年ごろにドイツのハリボー社が発売した。子どもにしっかりとかむ力をつけさせようと開発したといわれ、世界中で愛される同商品は、硬い歯応えが特徴だ。

日本におけるグミ市場は、明治(当時は明治製菓)が開拓した。1980年の「コーラアップ」がさきがけで、1988年に現在もシェア1位の「果汁グミ」が発売された。

果汁グミは当初から女性に訴求し、果汁由来、コラーゲン、適度なみ心地などが支持された。今もグミの愛用者の7割が女性だという。以前の取材でこんな声も聞いてきた。

「実は私、あらゆるおやつの中で、グミが一番好きです」(30代の女性会社員)
「机の引き出しに、非常食としてグミを常備しています」(医療機関勤務の女性)