【国語:字って不思議編】

なぜ柔道では「1本」と数えるの⁉
みんなでつくる1本の辞書』(福音館書店・飯田朝子、絵=寄藤文平)

文=飯田朝子、絵=寄藤文平『みんなでつくる1本の辞書』(福音館書店)
文=飯田朝子、絵=寄藤文平『みんなでつくる1本の辞書』(福音館書店)

マグロ、鉛筆、柔道の背負い投げ。どうしてみんな「1本」と数えるのか。この本に登場する、「1本」と数えるものはなんと350種類以上! ひたすら「1本」について、イラストとともに解説した本です。

専門家が書いていますが、平易な言葉とわかりやすいイラストで、面白く読み進められます。論説文を読む入り口としておすすめです。

1つの漢字から想像力が広がる~!
素敵な漢字』(講談社・五味太郎)

五味太郎『素敵な漢字』(講談社)

「足」という漢字から連想する「足跡(footsteps)」「足並み(pace)」「不足(shortage)」などの熟語をイラストや英単語とともに解説しています。漢字から広がるイメージをイラストでより具体的に理解することができ、英単語の選びかたも絶妙なので日本語と英語を一緒に学べていいですね。

古代文字で自分の名前を書いてみたくなる
描こう!世界の古代文字』(マール社)

マール社編集部、古代文字指導=永井正勝、作品指導=深沢紅濾『描こう!世界の古代文字』(マール社)

ヒエログリフ、トンパ文字など、絵のようなさまざまな古代文字が紹介されています。「これも文字なの⁉」と驚きが生まれるでしょう。友達への手紙に暗号として書いてみるのもいいですね。文字への関心を持ち始めると、漢字の成り立ちや外国語にも興味が湧きますよ。

【国語:思いの伝え方編】

モノクロの絵からストーリーをつむぎだそう!
ハリス・バーディックの謎』(河出書房新社・クリス・V・オールズバーグ、訳=村上春樹)

クリス・V・オールズバーグ、訳=村上春樹『ハリス・バーディックの謎』(河出書房新社)

謎の人物が残した14枚の絵に、それぞれの題名と数行の説明文だけがついている、不思議な絵本です。そこから好きな絵を選び、自分のストーリーを作ってみるという創作授業を長く続けています。なんと今年の慶應義塾大SFCの小論文入試にも使われました。正解はない空想の世界を親子で話してみてください。

人の心を読む秘密の修行とは?
いくたのこえよみ』(理論社・堀田けい)

堀田けい『いくたのこえよみ』(理論社)

退屈な毎日を送っていた小学生のオガタのクラスに転校してきた地味なイクタ。その子が実は人の心を読めると知り、オガタは弟子入りを志願し、修行を始めます。関西弁で書かれ、口語の楽しさを知ることができる一冊です。人の心を理解する秘密とは何なのか、友人との付き合い方も新たな気づきをくれます。

たった3文字の手紙の送り主とは?
あひるの手紙』(佼成出版社・文=朽木 祥、絵=ささめやゆき)

文=朽木 祥、絵=ささめやゆき『あひるの手紙』(佼成出版社)

小学1年生のクラスに「あひる」とだけ書かれた不思議な手紙が届きます。一体誰が、何のために書いたのか。そして子供たちはどんな返事を書くのか。実話をもとにした、障がいのあるとある青年と1年生との文通を描いた作品です。短い言葉からつながる人と人の交流を読み進めるうちに「あなただったら?」と親子で話が広がります。

葉っぱでも手紙になるって知っていますか
てがみはすてきなおくりもの』(講談社・スギヤマカナヨ)

スギヤマカナヨ『てがみはすてきなおくりもの』(講談社)

葉っぱ、貝殻、カプセルトイのケース……。実際に切手を貼って送られたアイデアいっぱいのさまざまな手紙が載っています。思いを伝えるには言葉はもちろん、その方法にも工夫ができるのです。これを読んで、誰にどんな手紙を書きたくなるか考えるだけでも楽しくなります。言葉で伝えたい気持ちが自然と生まれてくるでしょう。

平沼 純(ひらぬま・じゅん)
花まる学習会
1982年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。2012年に花まるグループに入社。小学生から中学生までの国語の授業や公立一貫コース、総合的な学習の授業などを担当している。共著に『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)。