実は日本ブランドではない「Superdry極度乾燥(しなさい)」

こうしたおかしな日本語を使うコンセプトは、もしかするとこの世界的な人気ブランドを真似まねたのかもしれない。「Superdry極度乾燥(しなさい)」だ。

筆者撮影
ニューヨークにある「Superdry極度乾燥(しなさい)」の外観

ブランドのシグニチャー・アイテムであるスウェットには、大きなSuperdryのロゴの上にやはり巨大な文字で「極度乾燥(しなさい)」と書かれている。Superdryのショップがニューヨークにお目見えしたのは、漢字がクールだと感じる若者がまさに出始めたころだった。

スーパードライというと、皆さんが即座に連想するのはビールの銘柄だろう。それを「極度乾燥」と直訳したユーモアのセンスには私もニヤリとさせられたものだ。これを日本人がやったとしたら大したものだが、日本人ではなくイギリスのブランドだった。

しかし、このブランドの変な日本語ロゴだが、もともとは日本人がとりがちな行動がヒントになっているというから聞き捨てならない。

ブランドの創立者ジュリアン・ダンカートンは、たまたま訪れた日本の飲食店でスーパードライに出会い、クールな日本語を使ったロゴでブランドイメージを作りたいと思い立ったという。ビール名をそのままブランドネームにしたいと思ったが、カタカナのスーパードライはすでに商標登録されていたために、アルファベットでのSuperdryに落ち着いた。

さらに彼がヒントを得たのは、日本人が着ている服にプリントされた英語文法の多くが間違っていることだったというから耳が痛い。しかも、自社ブランドのロゴにわざと間違った日本語を使うことで、新鮮なインパクトが出せると考えたというから驚かされる。

新鮮さがない割に値段が高く、失速の一因に

しかしそんなエピソードを知らないアメリカ人のほとんどは、これがジャパンブランドであることに疑問を抱かなかったようだ。2003年にデビューして以来、Superdryは世界46カ国500店舗にまで拡大。サッカースターのデヴィット・ベッカムが着たことも大ブレークにつながった。

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ところがSuperdryは今大きな問題に直面している。2018年の1年間で株価は70%も下落、さらに2019年は1年の中で最も重要なクリスマス商戦にも失敗し、ブランド自体の先行きが危ぶまれている

その理由に関してはさまざまな分析がされているが、創立から15年以上たってブランドに新鮮さがなくなった、その割に値段が高く、商品の幅も広げすぎた、などという指摘がある。また他ブランドに比べ、ダイバーシティへの対応やインスタグラムなどのソーシャルメディア展開に後れを取ったことも失速の原因とされている。2018年には創始者のダンカートン氏が取締役から退いたが(2019年に復帰)、そこから急な転落が始まったとも言われている。