新たな秩序が生まれる
しかしバランスが崩れたときに調和を図ろうとする力が自然界に働くように、人や企業の経済活動も生態系の中にある以上、必ず揺り戻しが来て、新たな秩序が生まれると著者は明言する。
「そこで生まれるのは、人間重視の世界ではないでしょうか」「企業の間で、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた経営を志向する動きが活発になっているのは、その1つの表れでしょう」
そして、その過程で日本の長寿企業の経営やリーダーシップの価値がますます高まると指摘し、創業1596年、424年もの歴史を持つ日本酒の製造・販売の老舗、豊島屋本店や、創業1924年の工作機械メーカー、西島を紹介する。
では、これら長寿企業の価値とは何か? 著者は重要なキーワードとして「不易流行」すなわち伝統の継承と革新、「共生的共同体組織」すなわち環境に優しく、地域・社会に貢献し、人を大切にする組織と経営を挙げている。その中身は本書の読ませどころの1つなので、ぜひ紐解いてほしい。
本書には「人生哲学を教えてもらった」との受講生の感想が寄せられている。その言葉通り、いかに働くべきかの指針にもなる一冊だ。