※本稿は、田宮寛之『ビジネスエリートが実践している教養としての企業分析』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
世界の人口は28年間で17億人増える
世界全体では人口が急増しています。国連の統計によれば、2022年に80億人だった人口は2050年には97億人となります(国際連合:World Population Prospects 2022)。28年間で17億人も増加すれば、様々な問題が生じます。
しかし、問題が生じるからといって、地球の将来が真っ暗というわけではありません。問題に対応するところにビジネスチャンスがあります。人口増加を悲観することはありません。ピンチはチャンスです。
人口が増加すれば、世界的に水不足が深刻化するでしょう。地球は水の惑星と言われていますが、地球の水のほとんどは海水で、真水は全体のわずか0.01%にすぎません。水の豊かな日本では気付きにくいのですが、水は希少資源そのものです。
人口がどんどん増加しているので、この希少資源を大勢の人々が奪い合うという構造が出来上がりつつあります。
人口増加だけでなく、新興国の経済発展が水不足に拍車をかけます。新興国が工業化すれば大量の工業用水を使用します。工業活動を行なえば、どうしても工業廃水が出ます。新興国では排水を浄化する技術レベルが低いので、川や湖を汚してしまいます。ただでさえ、真水が不足しているのに、真水の供給元を汚して水不足をさらに深刻化させてしまうのです。
国際連合人口基金の試算によれば、2050年には世界総人口97億人のうち、約半数が水不足に直面します。世界中で水が足りないならば作るしかありません。
きれいな真水を作り出すのが水ビジネスであり、海外には真水製造工場が多数あります。特に中東エリア(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、オマーンなど)には多くの工場があります。水ビジネスは既に巨大なグローバルビジネスであり、さらにこれからも成長していくのです。