ドンキの安田会長、麻雀が強すぎる
「藤田君、麻雀強いらしいよ」という噂が広まったせいか、大先輩の経営者から麻雀のお誘いを受けることが増えました。麻雀にはその人の性格が出るので、会食してお酒を飲むよりわかり合えることもあります。
今まで一緒に卓を囲んだ経営者で、一番強いと思ったのは、ドン・キホーテ元会長の安田隆夫さん(現・創業会長兼最高顧問)です。
麻雀というゲームは、不思議なほど真面目で一生懸命、集中して打たないと勝てないものです。そんな中、安田さんは誰よりも一生懸命麻雀を打ちます。公式ルールのない仲間内の麻雀は、どんなルールにするか全員で決めておく必要があります。そんなとき、安田さんは交渉で絶対に負けません。強く自分の考えを主張します。たかが麻雀だし、安田さんがそこまで言うならまぁいいやと、そこで折れる人が大半。もうその時点で安田さんの有利は動きません。前述の通り、斜に構えず、一生懸命打った人が強いゲームなのです。
安田さんの勝負強さは経営にも表れていると思います。ドン・キホーテのように、粘り強く、あれだけきれいに何十期も連続で増収増益のグラフをつくれる会社は、あまり見たことがありません。経営においても油断しないし、手を抜かないし、集中力が途切れません。とにかく仕事も一生懸命なのでしょう。
余談ですが、1度AbemaTVの麻雀対局番組に出演していただいたこともあります。そのときの捨て牌の並べ方がとても独特でした。普通はきれいに揃えて置くものなのですが、横を向いている牌があれば、斜めを向いている牌もあったり。それを見ている人たちがコメントで「ドンキ陳列!」なんて言っていたときは噴き出してしまいました(笑)。
お調子者は弱く動じないヤツは強い
自分の麻雀の特徴を聞かれれば、最初に頭に浮かぶ言葉は「忍耐強さ」です。僕が生まれ育った福井県には、忍耐強い人が多いと聞いたことがあるのですが、それも影響しているのでしょうか。何が起きても少々のことでは動じません。将棋棋士の羽生善治さんの言葉、「楽観はしない。ましてや悲観もしない。ひたすら平常心で」を心がけているのです。
学生時代からそれなりに回数を打ってきたので、調子に乗って何度も鼻をへし折られてきたし、痛い目にもたくさん遭ってきました。仕事やゴルフなどと同じく、麻雀も試行錯誤の繰り返しの中で、何度も「摑んだ!」「あ、悟った」と思うことがあります。しかしそれは一瞬のことで、その直後から混迷が始まるのです。何かを摑めば、別のところでバランスを崩していくのだと思います。