エンタメから、金銭に直結するサービスへとシフト

リリースした最初期には、LINEの代名詞であるスタンプ機能はなく、スタンプや絵文字を追加したのは2011年10月のこと。翌2012年には「タイムライン機能」と「公式アカウント」が追加される。

タイムライン機能は、いわばLINEのフェイスブック的サービスだ。LINEで繋がった企業や個人の書き込みを読んだり、書いたりしたりすることができる。

公式アカウントは、企業とユーザーを繋ぐことを目的とする、法人向けのLINEアカウントだ。登録者の中から地域・年齢・性別で絞ってメッセージを送る、動画やインタラクティブな広告を流す、個人とのチャット機能などが活用できる。

このことからもわかるように、LINEは事業戦略としてメッセンジャーだけでなく、様々なサービスのポータル(入り口)を目指し、サービスを拡張している。以前はヤフーやグーグルがパソコンの「ポータルサイト」になろうとしたように、LINEのアプリもまたすべての入り口になろうとしているわけだ。

そして2013年には「LINEマンガ」が、2015年には「LINEミュージック」が出てくる。漫画が読めて、音楽が聞ける。コンテンツを強化する時期だったと考えられる。2016年には通信事業の「LINEモバイル」がサービス開始となる。

2017年には「LINEショッピング」と出前サービス「LINEデリマ」が、2018年には「LINEトラベル」が、2019年には弁当の持ち帰りサービス「LINEポケオ」がそれぞれ登場。これらは「LINEがショッピングの入り口となっている」という共通点がある。これらのサービスによって店舗とユーザーがLINEを介して新製品を認知し、そのままLINEで購入できるようになった。

時系列を追ってみると、何かを見る、聞くというエンタメから、徐々に決済やショッピングなど、金銭に直結するサービスへとシフトしていることがわかる。

その一部に関しては、LINEのアプリだけで利用が完結するものもあり、アプリを増やすことはなく、“すべての入り口”を目指すために最適化された設計だといえるだろう。

現在でも決済サービスLINE Payは充分な利便性を備えているが、ヤフーとLINEの経営統合により、ソフトバンクのPaypayとLINE Payでサービス統合が進み、今後も決済分野は強化されていくことが予想されている。