「ヒコーキ野郎の魂」を運転する人も感じている

次の3つは百瀬語録のうちの代表的なものだろう。

「すべてを数値化して考えよ」
「みんなで考えるんだ。部長も課長もない、担当者まで考えるんだ。考えるときはみんな平等だ」
「ものを考えるときは強度計算を先にするものじゃあない。先に絵を描け。感じのいい絵はよい品物になる」

語録について教えてくれた大拔は「ひとつ大切なことを思い出しました」と言った。

「35年前に入社して、最初に担当した車は初代レガシィでした。私は車のエンジンルームと車室を隔てるトーボードの設計をしたのですが、一緒に設計をした人は昔、戦闘機の画を描いていたと言っていました。おそらく定年の後、働いていたと思うのですけれど、隼の設計にかかわっていた人だと思います。ちょうどコンピュータが職場に入ってきた頃でしたけれど、その方は手で描いていました

レースからの技術でいえば、空力関係の技術は非常に参考になります。量産車にそのまま使うわけではありませんけれど、いろいろなエッセンスは重要です。そして、我々のお客様は飛行機やレースからきたエッセンスをちゃんと感じてくださっています。そこが本当にありがたいです」

スバルの車にはヒコーキ野郎の魂がちゃんと残っている。

補記。スポーツランドSUGOで行われたスーパーGTの決勝レース、GT500クラスではCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(日産)が優勝。日産にとって2019年シーズンの初優勝だった。一方、スバルが参加したGT300クラスではARTA NSX GT3(ホンダ)が優勝。スバルは車の故障でピットインしたままで、レースは終わった。(敬称略)

画像提供=SUBARU
中村社長(左)と専務取締役の大拔哲雄氏(右)
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