初めて『パパ』と呼んでくれた

一番は子どもの「初めて」に立ち会えることだ。「初めて笑った、初めて寝返りをした、初めて『パパ』と呼んでくれた。そんな瞬間に立ち会えたときの喜びはひとしおですね」(堀込さん)

葛藤もある。最大の障壁は「男は一家の大黒柱であるべき」という自他とものプライドをどう捨て去るか。

ある男性は病気を機に主夫になったものの、そんな自分が許せず毎日スーツを着て家事を行っていたという。「義父から『いつ働くんだ』と責められたと聞きます。しかし今では頭を金髪にして覚悟を決め、名物主夫として人生を謳歌しています」(堀込さん)

ちなみに「主夫」の定義は、専業・兼業を問わず、「主体的に家事・育児を行う」心構えを持っていること。“イクメン”と呼ばれていても、家事育児を「手伝う」意識の人間は「主夫」とは呼ばない。

国は男性の育児休暇取得を推奨するが、18年度の利用者はわずか6%程度。

「世の男性にはぜひ2カ月の育児休暇を取ってほしいですね。最初の1カ月で大変さを知り、次の1カ月で家事・育児の楽しさを味わえます。その後『専業主夫』になるかどうかは別として、夫婦が同じ経験をすることで、その後の家族の幸福度は確実にアップするはずです」(堀込さん)

堀込泰三
主夫
1977年千葉県生まれ。東京大学大学院を経て自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2007年長男誕生時に2年間の育休を取得。その後、翻訳家として在宅で働きながら2児を育てる。14年に「秘密結社主夫の友」を結成し、CEOに就任。著書に『子育て主夫青春物語』。
関連記事
帰省中に「妻より母」を優先した夫たちの末路
晩婚化する日本女性を襲う「ダブルケア」の恐怖
「40代で復職、60社不合格」どう乗り切ったか
育休明けの「できない宣言」で人生好転した理由
「教育熱心な親の子」が4年生で潰れる根本原因