40歳で会社を辞め、弁護士に転身。そして、再びビジネスの世界へ。法務のプロとして日本女性ではまれなキャリアを築いている髙澤さん。人生最大のピンチは、弁護士としての就活に苦労した時期だと語る。

自信が持てなかった20代。30代は家庭との両立に苦戦

「なぜこの道を選んだのか? と考えると、自分でも謎です。あれこれ理屈で考えつつも、最後は直感的にエイヤっと決断している気がしますね」

三菱自動車工業 執行役員 法務部長 髙澤 靖子さん

40歳にして、新卒で入った新日本製鐵を辞め、東京大学法科大学院(ロースクール)へ。弁護士になった後、三菱自動車工業に入り初の女性執行役員となった髙澤靖子さん。2度の大きな転機と、それ以上にあったいくつもの分岐点で、周囲に驚かれるような決断をしてきた。

「新日本製鐵に総合職の2期目として入りました。まだ会社も女性総合職をどう扱っていいかわからない時代だったこともあり、30歳ぐらいまではずっと自信が持てずに、自分はダメなんだと思っていましたね。けれど、出向のような形で外部に出て、同年代の人たちから仕事ぶりをほめられ、そこで初めて『もしかしたら普通ぐらいにはできるんじゃないかしら』と思いました」