ビジネス構造を理解すれば企業戦略の意図も理解できる

このようにテレビCMは発信力と視聴への強制力を武器にデジタル企業のマーケティング戦略においても存在感を示していますが、テレビCMへの過度な依存は、サービスの値上げや品質低下という形でユーザーにしわ寄せが起きます。

テレビCMに比べてWeb広告は圧倒的に費用が少なくて済みます。従って、テレビCMへの依存度を高めすぎると、1ユーザーあたりの採算が取れず、値上げまたはサービス提供コストの抑制へ繋がります。ネットフリックスの値上げ、元々は無料会計ソフトを提供していたfreeeの有料化などが例として挙げられます。

テレビCMのコストは、将来的にユーザーが負担するコストだと言っても過言ではなく、テレビCMへ過度に依存すれば、そのぶんユーザーへのしわ寄せも大きくなります。

デジタル企業がテレビCMを打つ背景には、実はビジネスモデル上の重要指標である、「広く新規顧客を獲得」することと「既存顧客を離脱防止」を目的としています。一見すると矛盾するかのように見える企業行動の裏には、ビジネスモデルの構造をひもとくと、実は戦略的な意図があることが理解できます。

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