残酷な社会でのサバイバル術とは

そうした中、現役世代のビジネスパーソンは、どのようにこの荒波を乗り越えていけばいいのでしょうか。キーワードは、「フリー」と「専門性」だと私は考えます。

日本では会社の中で人事異動を繰り返して出世を目指しますが、欧米では専門性を維持しつつ転職しながらキャリアアップしていきます。今後は日本も確実にそうなっていき、若い世代では、専門職として組織の内側と外側を自由に往復したり、働き方や仕事を自由に選ぶ「フリーエージェント」型が主流になっていくでしょう。ただし、フリーエージェントはいわば「一人親方」です。自由と引き換えに、専門性という武器を磨いて自らの市場価値を高め、自力で仕事を獲得する厳しさが求められることになります。

中堅のビジネスパーソンも、専門性を高める必要があるのは同じです。技術・技能系はいわずもがなですが、事務系でもマーケティング、人事・労務、経理、広報・PR、営業といった自分の専門を決めて、異動希望や研修といった社内制度を活用し、ときには転職も視野に入れながら、専門職として自立するためのキャリア形成を心がけましょう。

「いまさら専門家になれといわれても……」と嘆く中高年もいるかもしれませんが、あきらめることはありません。

私の知人に、40代後半までずっと専業主婦で、子どもが大学に入ってから働き始めた女性がいます。まったくなんの経験もない「最底辺」からのスタートですが、大学院で外国語を専攻した経験を生かし、教育サービスの会社の契約社員になって英文添削の仕事を始めました。

そしてこれは私も驚いたのですが、50代半ばのときに会社(一部上場企業)から「正社員になってくれないか」と打診されたそうです。「責任は重いし時間も拘束されるからイヤ」という理由で断ったそうですが。それでも時給2000円を超える条件でいまも働いており、「70歳まで続けたい」といっていますから、それまでの総賃金は5000万円を超えるでしょう。「職業経験なし」でもここまでできるのですから、さまざまな経験を積んでいるビジネスパーソンなら、定年後もそれを活かして働き続けることは十分可能でしょう。

(構成=野澤正毅 写真=iStock.com)
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