まっとうなことをやると、お金儲けにならない

また実際には効果の期待できない成分を含んだサプリメントも多い。

「グルコサミンは関節の痛みを緩和しない(※)、ヒアルロン酸は肌に浸透しないと散々言われている割にはどんどん商品が出ている。プラセボ効果なのです。謳い文句を信じて飲んでいるとよくなったような気になってしまう」

まちがった情報が垂れ流しになっている現在、我々がすべきなのは、疑問を感じたときには信頼できる医師や薬剤師に相談、そして公式機関の見解を慎重に参照することだ。

前出の阪本は一つの見極めは、治療のマイナス面をきちんと説明しているかどうかだと言う。

「自分たちの治療に対して、プラスの情報ばかり与えてくる人は信用したら駄目です。治らないと一方で言われて、別のところから治ると言われると、人は信じてしまう。しかし、治るし副作用もないというのはありえない。うまい儲け話は信用したら駄目というのと同じです」

そしてこう続ける。

「医療って金になると思われているじゃないですか。でもまっとうなことをやっていると金にならないんです。ぼくらも新しい治療法を患者さんに届けたいという思いでやっています。しかし、正規の手順でやっていると、一切お金儲けにならない。ノーベル賞を獲った人が研究費がない、それが今の現状です。それにも関わらず適当なやり方で金を荒稼ぎしている人がいる。そして患者さんも不幸になっている。こんな馬鹿な話はないと思いますよ」

山中伸弥のiPS細胞研究所への一部補助金の打ち切りが検討されたことは記憶に新しい。疑似医療が栄え、まっとうな医療従事者が天を仰ぐ。これも医療の現実である。

※「グルコサミンは関節の痛みを緩和しない」について:厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信サイトWEBページ