公立の小中学校教員には残業代が支払われていない。弁護士の明石順平氏は「給特法と呼ばれる法律が、異常な長時間労働の原因になっている。そのうえ、多くの学校で出退勤記録がまともになされておらず、過労死であっても遺族は泣き寝入りせざるを得ない状況にある。学校はまさにブラック企業だ」という――。

※本稿は、明石順平『人間使い捨て国家』(角川新書)の一部を再編集したものです。

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公立学校教員の異常な長時間労働

公務員の中でもっとも過酷な長時間労働を強いられている公立学校教員のことについて述べる。公立学校教員の1週当たりの労働時間の状況について、文部科学省「平成28年度教員勤務実態調査」(以下「実態調査」という)から引用する。なお、この調査は高校教員については対象となっていない。

(出典)文部科学省「平成28年度教員勤務実態調査」

小学校は55~60時間未満、中学校は60~65時間未満がもっとも多くなっている。1週60時間ということは、所定労働時間を1日8時間とすると、週20時間残業していることになるので、月にすると過労死ラインである80時間を超える。

ここで、このグラフから60時間以上の割合を出してみると、小学校で33.4%、中学校ではなんと57.7%になる。小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が過労死ラインで勤務しているということである。