さらに、妻の実家との関係は、男性にとって「切ることができない」=つまり逃げられない(③)、加えて、その状況をストレスと感じることも許されない(③)という、抑圧したストレスが生じるダブルバインドが堅固に成立しています。

じゃあどうすればいいのか。実は妻も、夫の実家に行ったときには同じダブルバインド状況に置かれます。しかし妻はこれを上手に突破しています。

妻たちは、「何もしなくていいから」という①言語層に従わず、ぐいぐいと料理を並べたり、台所に入って茶碗洗いをしたりする。これによって、ダブルバインド状況を阻止しているのです。

ただし、何もしなくていいという言葉に従ったら、後から何を言われるかわからない、という性役割における社会的文脈も発生するかもしれませんが。

妻たちは完全オンモードでいたらいたで、「ほら、うちの母が何もしなくていいって言ってるんだから、くつろげば?」なんて薄ボンヤリしたことを言う夫にイライラしている面も(おっと、もはや心理学の知見ではなくただの愚痴かもしれませんが)。

休暇であってもオンモードでいる

結論として、この帰省によるダブルバインド状況を突破するには、自分の実家に帰るときは“オフ”、パートナーの実家に帰るときは休暇であっても“オン”。そういうものだと割り切ることです。

したがって、妻の実家にいるときは、男性はオンモードでいれば居心地の悪さを改善できます。「何か僕ができることありますか?」と聞いたり、「~しましょうか?」と申し出ましょう。「くつろいで」と言われても何かをするのが得策です。

そのとき、妻がオフモードであっても「なんで君もやらないんだ」などと巻き込まないでいただけると完璧ですね。

(構成=池田園子)
関連記事
口が軽い人が「誰にも言わないで」を無視する訳
「40歳結婚→出産」の共働き夫婦を襲うリスク
へこんだ時、平常心に戻れるすごい小ワザ2つ
お金持ちほど実は「孤独を愛する」2つの理由
少子化を産まない女のせいにする日本社会の愚