大手3社に日販で後れを取っている

現状ではミニストップ一人勝ちとなっているが、100円おにぎりに関してはリスクもつきまとう。集客やついで買いが見込める一方で、収益性を下げるリスクがあるのだ。単価が低い分、販売数が大きく伸びなければ利益を減らす可能性がある。競合各社が一時的におにぎり100円均一セールを実施することはあっても常時100円で販売することがないのはこのためだ。

だが、こうしたリスクを冒してでも100円おにぎりを販売しなければならない切実な事情がミニストップにはある。それは、日販(1店舗の1日当たり売上高)が競合と比べて圧倒的に低く、事業の収益性が低いことだ。

18年度各社の日販はセブンが65万6000円とトップで、ローソンが53万1000円、ファミマが53万円と続く。一方、ミニストップは41万3000円にとどまっている。セブンとは20万円以上、ローソンとファミマとは10万円以上の開きがあり、一人負けしている。

日販が低いと、土地・建物の費用や正社員の人件費といった固定的なコストの割合が高まる。また、加盟店からのロイヤルティー(経営指導料)を低くおさえなければいけなくなる。このため収益性が低くなる。事実、ミニストップ(単体)は収益性が低い。

18年度はチェーン全店売上高が3337億円、営業利益が1億8100万円で、チェーン全店売上高に占める営業利益の割合はわずか0.05%にすぎない。一方、セブン(単体)は利益水準が高く、18年度のチェーン全店売上高は4兆8988億円、営業利益は2450億円で、営業利益の割合は5%にも上る。この差は日販の違いが大きく影響している。

業績は決して楽な状況ではない

100円おにぎりは販売数が大きく伸びなければ、低価格にしたぶん日販が低くなり、前述の理由から収益性は下がる。逆に販売数が大きく伸びれば日販が高まり、収益性は上がる。おにぎりを常時100円に値下げしてもどちらに転ぶかわからないが、今のところ既存店売上高が好調のため、収益性を高めているといえそうだ。

ミニストップの業績は決して楽な状況にはない。直近本決算である18年度決算(連結)は、営業損益が5億5100万円の赤字(前期は1000万円の黒字)、最終損益は9億1600万円の赤字(同9億5500万円の赤字)と苦戦した。最終赤字は2期連続となる。海外事業が苦戦し大きく足を引っ張ったが、国内事業も楽観視はとてもできない。

今後も100円おにぎりのような思い切った施策を、多少のリスクを覚悟して打ち出すことが求められるだろう。

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