チームの問題を解決できるのはジルの方だった
ジルはよく、会話の途中でふいに黙り込んだ。礼儀を知らないわけではなかったが、何を尋ねても少しピントのずれた答えを返した。話題があちこちに飛んだ。私が評価表を埋めるために、もとの質問に引き戻そうとしても、ジルはあいかわらず本題からやや外れた、自分にとってより興味があることを話し続けた。
ジルは私と正反対だった。彼女を雇うと苦労するのは目に見えていた。私がしっくりいかないだけでなく、彼女のほうも居心地の悪さを感じているのは明らかだった。ジルと私の会話はこの先も噛み合わないだろう。
それでも、私は気づいていた。わがチームの問題を解決できる人物が欲しいなら、ジャックではなくジルを選ぶべきだと。ジルは視覚的に、そして詩的にものごとを考える。複数の関連しないアイデアを頭のなかで共存させられる。彼女の脳内では、中世の詩人とコンピュータのアプリがなんの違和感もなく結びついている。
ジルは専門外の分野でも生産性がとても高かった。何か気になることを見つけたら、その分野を究めるまで熱中した。食事や睡眠を忘れているのにも気づかず、何時間でも問題に没頭できた。
天才的な人材は面接において見逃されがちである
天才を見極めるには、目をしっかり開いていなければならない。天才はあなたと似ていないし、あなたを居心地悪くさせるから、うっかりすると見過ごしてしまう。会話が噛み合わないからと見逃している可能性もある。天才を見つけるために、私は「自分と通じるところがある」とか「一緒にいて嫌な感じがしない」といった、ふだん面接で気にする条件を脇に置くことにした。
結局、私は両方を採用した。ジャックには問題を解決してくれるジルが必要だし、ジルにはラボをうまく回すために地味な仕事をしてくれるジャックが必要なのだ。
候補者がチームに必要な天才かどうかを判断したいとき、私は次の6つの問いを自分に向けている。これらの問いを活用すれば、その候補者から天才の考え方の特徴を見極められるだろう。