YouTubeなどには字幕のついた動画があふれているが、本当にわかりやすくなっているのだろうか。スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓さんは「すべてを文字起こしした動画はむしろインプットの妨げになることが分かっている」という――。
※本稿は、星友啓『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
「動画の字幕」実は逆効果
YouTube動画には、インプットに効果的なものとそうでないものがあります。
例えば、動画の「字幕」には要注意です。
これは少し意外かもしれません。字幕があることで、「聞く」に「読む」が追加され、耳で聞いたことを文字で再確認できるので、なんだかインプットの効果が上がりそうな感じもします。
実際、動画の重要ポイントやキーワードなどが、文字として表示されているような場合には、インプットの効果が上がることが確認されています(※1)。
しかし一方で、ナレーションを全て文字に起こした字幕は逆効果になってしまいます(※2)。なぜなら、音声からの情報にプラスして字幕を出すことで、動画から発信される情報量が増えすぎて、私たちのワーキングメモリーがパンクしてしまうからです。
字幕に気を取られて理解度が落ちる
つまり、字幕をつけると、必要ない部分の情報も文字情報として動画に出てきてしまい、それにワーキングメモリーの容量を無駄にとられてしまうので、うまく集中できずに理解度そのものが落ちる傾向があるのです。
映画の字幕に気をとられ、登場人物の表情を見逃したり、その場の雰囲気が理解できなかったりするというのも、似たような理由からだと考えることができます。
新しいことをインプットするときは、字幕をONにして情報量を無駄に増やしてしまわないように気をつけましょう。