「僕は話題のものやイベントがあったら、とりあえず買ったり行ってみたりします。先日iPhoneの新シリーズが発売されたときも、発売日に新色を購入しました。それを手にしてクライアントのところに行くと、社長さんまで『最新のやつ? 触らせてよ』となるんです。そういうところから大きな仕事につながることも多々あります。ミーハーだとバカにする人もいますが、相手の心をつかむための投資だと思えば安いものですよ。

決して高価なものである必要はありません。『マクドナルドの新商品が出たら必ず食べる』など、数百円でできることだってあります」

野呂氏は「とりあえず話題を振ろうと日経新聞に載っていたニュースの話をしたりする人も全然ダメ」とバッサリ切り捨てる。

「日経新聞に載っている話なんて、ビジネスマンなら誰だって知っています。他者を通じて得た二次情報って、何の意味もないんですよ。話すべきは、自分の直接的な体験から得た一次情報です。『実はうちの会社でこんなトラブルがありまして……』とかね」

天気に関わる話も万能ではない。

「『足下の悪い中、お越しいただきましてありがとうございます』といった相手を気遣うふうの定型文。こんなことを言うくらいなら、『雨、大丈夫でしたか。よかったら使ってください』と、コンビニで買ってきたタオルをさっと手渡すほうがよほど相手の心をつかめますよ」

気遣いゼロのオジサンになるな

自己紹介も話のうまい人、下手な人が明確に分かれる。野呂氏は「会社名や職業で自分をアピールしてくる人間は話の中身がない」と言う。

「名刺を見ればわかることは、あえて口にする必要はありません。自己紹介は『自分は何をやっている人間なのか』、つまりアクションを話してほしい。例えば、『○○不動産で部長を務めています』ではなく、『丸の内で飲食店の開発をしています』のほうが聞き手の想像をかきたてる。

僕の場合は、『おもしろいことを考えて、小銭を稼いでいます』と言ったりします。そう言われると具体的に何をしている人なのか、気になりませんか? 思わず質問したくなるような自己紹介をしてほしいと思います」

野呂氏が特に気をつけてほしいと語るのは、“オジサン化”しないことだという。どういうことか。

「やたら声の大きい人とか、大きな咳やくしゃみをする人がいますが、ああいうデリカシーのなさは嫌われます。オジサン化とは人が不快に思うかもしれないということに対する気遣いが一切ない状態のことを指すと、私は考えています。私も50過ぎのいいおじさんですが、オジサン化だけはしないように日々気をつけています」

若い人たちの話に「俺だって、知ってるよ」と割り込む人がいるが、これも「つまらないオジサン化の典型」と野呂氏は断じる。

※webアンケート調査を実施。20歳以上の男女200人から回答を得た。調査日は2019年11月1日。