酔って塾に電話をかけてくる母親の子[浅野中→東京慈恵医大]
【ケース2:拓也くん(仮名)】
・父親は会社員、母親は専業主婦
・サッカー大好き少年
受験勉強を小学4年から始めた拓也は、受験勉強の他にサッカーを1回2時間、週に2回はガッツリとボールを蹴っていました。拓也のお父さんは、普通のサラリーマン。お母さんは専業主婦で趣味に生きているって感じでした。お母さんは時折、趣味で撮った写真作品を見せてくれましたね。作品のレベルは素人目に見ても「プロか?」と思うほど素晴らしい出来栄えだった事を覚えています。
お母さんは、よく電話をかけていらして「先生、面接はいつからでしたっけ。うちの息子が訳のわかんないことを言っていて……。えっプリントあるんですか?」と、明らかに酔ってかけてくることも珍しくありませんでした。ビールの大好きなお母さんでした。
夫婦共に、拓也の勉強について特に何か希望を言うわけでもなく、親子面接では父親がこんなふうに言っていたのが印象的でした。
「本人次第ですよね、勉強は。コイツがやる気があればやるし。親がなんだかんだ言っても、本人にやる気がなければできないのはしょうがないですよ。なぁ、拓也? オマエは勉強やるのか、え、受験するのか? ほーお? 受験したいのならサッカーもあるんだろうけど、勉強やらないとな。先生、よろしくお願いします」
父親はそう勝手に話をまとめて、お辞儀をして帰っていきました。他の親たちと明らかに違ったのは、志望校に合格するために「勉強やれやれ」って感じではなく、好きにさせていたこと。
結局、拓也は複数校の合格を勝ち取り、浅野中学に進学し、そこから東京慈恵会医科大学医学部に合格し、今は救急医療で活躍しています。