「秋田で暮らすようになり『日本酒はこんなにうまいのか』と関心を持ち、以来、個人店を中心に飲み歩きました。東京に戻り、日本酒の魅力を人に伝えたいと思ったのです」
講座開催まで、自分で飲む、銘柄を覚える、知らないことはネットで調べる――を繰り返した。
「利き酒達人を目指すのではなく、『日本酒大好き素人』の目線を大切にしたい。参加者にも『勉強になる』より『楽しい』と思われ、笑顔で帰ってほしいのです」(原田さん)
講座を受講して気づいたことがある。原田さんの「横から目線」だ。一般にセミナー講師は立ったまま話すことが多い。立ち位置も、講師に向き合う参加者と対峙する形が多いだろう。
今回は違った。原田さんは参加者と同じ列に加わり、座ったまま話をし続けた。先生が話すというより、「飲み会で、飲食にくわしい同僚が説明してくれる」ようなスタイル。講座開始当初は立ったまま・対峙型だったが、途中で現在のスタイルに変えたという。
それもあって、20代から40代が大半の参加者は、興味津々で耳を傾け、日本酒の試飲時はラベルを確認しながら飲み、笑顔になる。どの講座も1人での参加が多いという。
ところで、この日の収支を勝手に計算させてもらうと、売上高は参加費2980円が15人分で4万4700円。ストアカの手数料(基本は20%)が最大8940円、試飲用の日本酒が1本1500円として5本で7500円、会場のレンタル代が3000円とすると、少なくとも2万5000円強が原田さんの取り分となる。
この調子で月2回開催できれば、月収5万円となる計算だ。
起業相談は50代が中心に
副業として起業を選ぶ人も少なくない。小規模ビジネス向けのレンタルオフィス「アントレサロン」の運営で知られ、中高年の起業支援などを行う銀座セカンドライフの代表取締役・片桐実央さん(38歳)は、サラリーマンの起業事情をこう語る。