何のための「年収1000万円」なのか

私自身の話もしておきましょう。

41歳で会社を辞めて起業した当時、当然ながら収入はガクッと下がりました。しかし、自分の裁量で働くことができるようになって、家族と接する時間は増えました。会社員時代は子どもの学校行事に参加したことはほとんどありませんでしたが、今は子どもの保育園や学童保育への送り迎えもしていますし、三者面談や学校公開日などにも積極的に参加するようにもなりました。子どもの成長を近くで見守ることができるという、モーレツサラリーマン時代にはなかった幸福を日々味わっています。

前川孝雄『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)

確かに会社員時代のほうが額面給与は高く、肩書に社会的なステータスもあったかもしれませんし、大企業だからこそのスケールの大きい仕事もできていました。それでもなお、プライベートも含めたトータルで考えれば、今のほうが幸せだと感じています。ちなみに、睡眠時間もしっかりとれるようになり、ランチも早食いしなくてよくなりました。健康的でもありますね。

高収入に対するこだわりが捨てられない人は、そもそも年収1000万円が何のために必要なのかを改めて考えてみてください。人より贅沢をしたいから? 収入が自分の価値を表すから? それらは家族との幸せや心身の健康を犠牲にしてまで得る意味があるものでしょうか。

収入のプライオリティを下げ、「やりたいこと」や「家族との幸せ」のプライオリティを上げることで、仕事もプライベートも含めて、人生の後半戦はより豊かなものになっていくはずです。

関連記事
6000万タワマン族"ほぼ赤字家計"の末路
月収44万68歳の悩み"暇で暇で死にそう"
年収1000万家計崩壊の理由は"妻の妊娠"
年収700万を捨てて「山奥で起業」を選んだワケ
世界一労働時間が短いドイツが超好景気なワケ