風邪と急性心不全の見分け方
一般論として「風邪の大半は鼻や喉へのウイルス感染」であり、「ムダに病院を受診して体力を消耗するよりも、自宅で安静にして自然回復を待つ」が王道である。しかしながら、心筋炎のような怖い病気が潜んでいる可能性もゼロではない。
そこで、山本陽一さんのように救急病院に駆け込むべきサインを紹介したい。
1:進行が速い
一般的な風邪に比べて、劇症型心筋炎は進行が速い。「朝方にせきっぽかったのが、昼には寝込む」というような急激な症状の進行は、病院受診のサインである。
2:階段を上れない、転倒、失禁
一般的な風邪だと、発熱時でも自宅近くのコンビニで買い物くらいはできることが多い。しかし、心不全が絡むと「階段を上れない」「トイレに行こうとして倒れる」「尿失禁」のように行動レベルが著しく低下することが多い。速やかな病院受診が勧められる。
3:むくみ、静脈がくっきり見える
心不全では心臓のポンプ機能が低下するので、静脈に血液がたまりやすくなり、顔や足がむくんだり、手足や頸の血管がくっきり見えたりすることが多い。この場合も、速やかに病院受診すべきである。
4:ピンク色の水っぽい痰
一般的な風邪だと、痰は黄緑っぽいことが多い。だが、心不全の痰は「肺に水が溜まる(=肺水腫)」ことによる痰なので、ピンク色の水っぽい痰となる。病院受診すべきサインである。
5:脈がとぶ(不整脈)
心筋炎や心不全が進行すると、山本陽一さんのように不整脈が出現することがある。1~4に加えて不整脈が出現したら、救急車をコールしてでも病院受診すべき緊急事態である。子供の発熱も、「グッタリしているだけじゃなく、脈が乱れている」というのは、救急車案件だろう。
インフルエンザ予防接種もお忘れなく
心筋炎の原因となるウイルスはいくつかあるが、インフルエンザウイルスもそのひとつである。予防接種を受けてもインフルエンザに感染することはあるが、心筋炎のような重症化の防止には有効なので、早めの接種をお勧めしたい。