景気減速を止められないピニェラ政権

ただ、チリの政治が国内の不満を解消し、情勢安定を目指すことは口でいうほど容易なことではないとみられる。ピニェラ政権は民衆の不満解消に向けて、閣僚の交代、運賃引き上げの撤回、最低賃金の引き上げ、電気料金の引き下げなど複数の対策を行った。それでも、チリ国内では不安定な状況が続いている。

今後、ピニェラ政権に求められることは、さらなる取り組みを進め、国民の不満をやわらげつつ、経済を安定させることだ。ピニェラ政権の政策運営によってデモが鎮静化し、短期間で経済の混乱が落ち着くのであれば、チリ経済はそれなりの落ち着きを取り戻すことができるかもしれない。

反対に、政府が民衆の不満を解消できない場合、状況はさらに厳しくなる恐れがある。先行きは楽観できない。

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