「大阪のおばちゃん」に既視感を覚えるワケ
ネット上でよく見かける言葉が「大阪大媽」。大媽とは、おばさんのこと。いわゆる「大阪のおばちゃん」です。大阪のおばちゃんも、ちゃんと大阪名物として認識されているのが面白い。
大阪大媽の4点セットは、パーマをあてた髪の毛、ヒョウ柄の服、UVカットのサンバイザー、カバンに入れた「飴ちゃん」。一方、中国の大媽の4点セットは、つば広の帽子、サングラス、花柄のスカーフ、自撮り棒。そんな比較記事も見つけました。
おばちゃんの派手さが中国と似ている、という指摘がけっこう多いのです。中国で大媽と呼ばれる人はだいたい60代~70代。いわゆる文化大革命世代ですから、文革中は地味な格好しか許されなかった。その反動で、派手なファッションを好むのです。大媽と聞いて誰しも連想するのが、あざやかな色のスカーフです。
七〇後八〇後(1970~80年代生まれ)が子供時代に派手な格好をさせられた反動で、いまは無印良品のような「性冷淡」なファッションに惹かれる、という分析を以前(『日本人は知らない中国セレブ消費』参照)しました。そもそも派手な格好をさせられたのは、親の世代がそういう服を好むからなのです。
大阪のおばちゃんは話題にされやすい存在ですが、中国の大媽も同様です。マナーの悪さでひんしゅくを買っている。
IKEAを占領、街角でダンスとやりたい放題
リタイアして時間のたっぷりある世代です。だから、きれいなIKEAで時間をつぶす。暑さ寒さを避けられるし、眠くなったらベッドもある。友達と集まって時間をつぶすのに、こんな快適な場所はないのです。
IKEAのレストランは安い。ホットドッグは1元(約16円)です。しかも、会員になれば(すぐになれます)コーヒーが無料なのです。そこで、大媽たちはヒマワリの種をもちこんで、それを食べながら、無料のコーヒーを飲み、談笑する。座席を長時間、占領し、ヒマワリの食べかすを床に落とす。さすがのIKEAも「レストランを利用される際は、何か1品、ご注文ください」と張り紙を出すようになった。
老人の集会の場は、IKEAだけではありません。いま社会問題化しているのが、20~30人でやる「広場ダンス」。公園でも、街角でも、ちょっとしたスペースを見つけては、大音響で音楽を鳴らしてダンスをやる。
みんなが寝ている朝6時から踊ったり、子供が宿題をやる夕方の時間帯に踊ったりするので、各地でトラブルを起こしています。子供たちがバスケットボールをやっているのを追い出してダンスを始めたときはニュースになりました。誰かから注意されて、喧嘩になることもしょっちゅうです。