長女の家族とひきこもりの長男が公平に相続する唯一の方法

長女の提案によると、両親が健在なうちは、今のまま両親と長男で自宅に住んでもらい、両親が亡くなったら、そこに長女の家族が入るというのです。首都圏では住宅の販売価格が高くなっているので、自宅を相続できるのであればそこに住みたいと思っています。

トイレや小さなキッチンを2階に設け、2世帯住宅のようにすれば、同居は可能だと考えています。むしろ、同じ家に住むことで、何かあった場合でもすぐに対応ができます。相続は、

自宅の持ち分の半分+預貯金の半分⇒長男
自宅の持ち分の半分+預貯金の半分⇒妹

となり、遺産を公平に分けた上で、長男に預貯金を遺すことができます。

写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

通常は、1つの不動産を共有で2人が相続するのは良くないとされています。はじめは兄弟姉妹での共有ですが、その次にはいとこ同士となり、さらには遠い親戚との共有になり、関係性も薄くなります。売却などでは両者の合意が必要になり、トラブルとなることが少なくありません。

しかし、この家族の場合、長男には配偶者も子どももいませんし、今後もその見込みはありません。長男が亡くなると、自宅の長男の持ち分を相続するのは、長女または長女の子どもです。その時点で共有は解消されることになります。

シミュレーションをしてみても、マンションを購入し、二重生活を送ることによる支出増がなく、より多くの資産をお子様たちに残すことができます。

「これであれば、経済的な面でも、生活の上でも、安心ですね」

両親が亡くなり、長女の家族が同居するのはまだまだ先の話です。今後状況の変化もありますので、けっしてこれですべてが解決したわけではありません。しかし、ひとつの方向性が見えたことで、両親はもとより、長女も前向きに考えることができました。

両親は、長男ができるだけ自立した生活を送れるように、早めのに自宅の改修することを考えています。今回は、兄と妹の関係性が良いために、選択できた住まい方です。兄弟姉妹の関係が悪いことも多く、これは珍しいケースかもしれません。私にとっては、いろいろな可能性が考えられることを教えてくれたご相談事例です。

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