300円ショップは「世界観」を売る
100円ショップと300円ショップの明らかな違いは、価格というより戦略の差だ。「個」VS「空間」であり、「便利」VS「世界観」でもある。
シンプルに言えば、暮らしの必需品を売るのではなく、暮らしに彩りや潤いを付加するアイテムを扱うのが300円ショップだ。得意とするのは機能よりもデザイン性で、生活感をなるべく消したい時にこそ威力を発揮する。300円ショップの代表格と言えば「3COINS(スリーコインズ)」。シンプルな生活雑貨が得意なブランドだ。このほかに、よりキュートな雑貨ラインアップが特徴の「CouCou(クゥクゥ)」や「ミカヅキモモコ」などがある。
300円ショップの「世界」はインテリアづくりに威力を発揮する。特にそれを感じるのは3COINSの店内だ。収納グッズやランドリー関連、カーテンやクッションなど生活周りのアイテムが多く、全体的にはナチュラルテイストで、飽きの来ないデザインのものが多い。
また、価格帯も幅広い。300円以下のものもあれば、500~1000円の値札が付いた商品も多く並ぶ。他の300円ショップと比べても、3COINSは300円以外の商品が多いと感じる。
コスパよく、センスよく、インテリアを整えられる
筆者がいつも感心するのは、収納グッズのクオリティーの高さだ。ふた付きの衣装ケースや、カラーボックスにセットできる収納ボックスなどが充実しており、100円ショップの商品よりサイズや造りがしっかりしている。
100円の収納ケースといえばプラスチックかごの印象があるが、こちらは布張りや自然素材を使ったものが多く、安っぽさを感じない。また、収納グッズの場合、同じアイテムが複数必要になることが多い。1個300円という価格はそれを容易にかなえてくれるのだ。
300円でコスパよく、かつセンスよく暮らしたい消費者は、3COINSでアイテムをそろえればいい。パンチが効いた1個の商品を買うのではなく、同じシリーズを「空間」を作るようにそろいで買う。それができるのが300円ショップの魅力だ。
それを強く感じたのが、ハンガーの売り方だった。プラスチック製のハンガーは10本組、服が滑りにくい加工を施したハンガーは5本組で、どちらも1セット300円となっている。クローゼット内に服が何着あるかは家それぞれだが、10本あるいは5本同じハンガーを使っていれば、買い足すハンガーは同じものがいいと考えるだろう。こうして、クローゼットの「空間」は一気に3COINSの“陣地”になるというわけだ。
金をかけずにインテリアをセンスアップさせたいなら、300円ショップに頼ればいい。それがひとつの正解だと思う。