「おねだり拒否」で家計は月5万5000円の支出減に成功

「やっぱり両親分の支出が、赤字の大部分を占めていたじゃない。これからはすべてうちからは出しません」と由香さんは英樹さんに詰め寄ります。

しかし杓子しゃくし定規に支出をきっちり区別するだけが、解決策ではありません。違う視点も必要です。私は次のような提案をしました。

まず長電話はインターネット電話に切り替えることで、通話料自体をかからなくする。スマホは家族全員で格安SIMに変更したりして、コストダウンに励む。

食費や生活日用品などの買い物の代行分は、「LINE Pay」や「PayPay」などのプリペイドサービスに予算を決めてチャージし、「両親分はここから使う」ようにすれば、由香さん家族の分と区別できます。

このほか、親の希望で娘に通わせていたバレエ教室を退会したり、食材や日用品を買いすぎたりしないようにするなど、由香さんの家族も支出を見直しました。併せてクレジットカードでの買い物はやめ、「今月の支出は来月に持ち越さない」としました。すると、全体で約5万5000円の支出が削減され、毎月1万円の貯金ができるめどが立ちました。

義父母は老後資金を残そうと子世代からの援助に期待した

後日談ですが、贈り物については、英樹さんから負担の重さを両親に伝えたところ、「お金じゃなくて気持ちだよ」と言ってもらえました。これからは金額よりも内容重視で贈り物を選んでいくことになったそうです。

今回のケースは、親世代が子供夫婦のマイホーム費用の一部を負担したことから、年金を少しでも今後の老後資金に回そうと、子世代からの援助に期待してしまったという側面がありました。

老後資金と子どもへの援助費用は、シーソーの関係にあります。まずは「老後を自立して暮らす資金」を十分確保したうえで、子世代への援助を考えていただければと思います。