「両親のせいで赤字」といっても、説得力なし

由香さんは給料日に、引き落とし分以外の現金をすべて下ろし、費目ごとの封筒にお金を入れてやりくりする、いわゆる「袋分け」で家計を管理していました。買い物のたびに袋から現金を出して使っていくので、残金がわかりやすいというメリットがありますが、食費の袋の現金がなくなれば、他の袋から借りることもしばしばで、結局「何に、いくら使っているのか」がよくわかりません。

また、現金がなくなると、クレジットカードで買い物をしていたので、翌月の引き落とし分が多くなり、「使える現金が毎月、毎月少なくなっていく」という悪循環に陥っていました。

そして、家計簿をつけていなかったために、両親へのさまざまな援助が家計を圧迫しているという事実を、英樹さんにわかってもらえなかったのです。数十万円が消滅した貯金通帳を見せても、「それはうちの両親のせいじゃなくて、きみのやりくりが下手なんじゃないのか」といわれ、どうしていいのかわからなくなってしまいました。

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支出の実態を調べると義父母に年74万円も“貢いで”いた

両親と同居して経済的なサポートをするのは、思いやりに満ちた素晴らしいことだと思います。しかし、だからといって、子供世代が身の丈以上の負担を背負い込んでしまうことや、親世代が自分の収入以上の生活を望むことは、両方の家計にとって決していいこととはいえません。

ここはまず、由香さんの家族として、両親分の支出も含めて「何に、いくら使っているのか」を具体的な数字で把握することが先決です。私は由香さんに、3カ月間、家計簿をつけるようにお願いしました。食費、生活日用品など費目別の支出を記録し、その中で、遠距離の長電話や買い物代行の金額など、「両親分の支出」には(1200円)など、括弧をつけて区別してもらいました。

こうした月々の支出に加え、誕生日や母の日、父の日などの贈り物、旅行の食事代については今後、ボーナスからの支出として扱うことにし、わかる範囲で金額を出してもらうことにしました。

3カ月後、家計簿を拝見すると、収支は毎月約4万5000円の赤字。この額もかなりのものですが、驚いたのは両親分の支出額でした。

1万8000円の固定電話代のうち、1万6500円。
10万4000円の食費のうち、1万2000円。
1万8000円の日用品費のうち、4000円。

両親分の支出は合計で月3万5000円。月の赤字の大部分を占めていました。

贈り物の支出は、クレジットカードの履歴から金額が確認できました。誕生日各3万円、お年玉は各5万円、母の日、父の日も各1万円ほどで、合計で18万円。年末の旅行の際に負担した食事代は計約14万円にも上っていました。年間にすると74万円という計算になります。