まず昼食後の午後2時頃に眠気が襲ってくる件ですが、これを「アフタヌーンディップ」と呼びます。しかし就寝までまだ時間があるのにどうして眠くなるのでしょう。「睡眠圧」を考えるならば、まだ余裕があるはずなのに。考えられる仮説としては、ヒトは、太古の昔よりその時間帯に昼寝をしていたからだという説があります。実際にサルなどを観察すると、その時間帯に寝ていることが多いんです。人間は社会を構築するうえで、その時間帯も働くことにしましたが、本来の体のリズムを考えるならば、その時間帯に昼寝をとるのが自然なのかもしれません。

抗う力(オレキシンという物質)が一番高まるのが寝る直前の2時間

一方の「睡眠禁止ゾーン」ですが、朝起きてから徐々に高まる「睡眠圧」に対抗するためには、眠気に抗う別の力学が必要です。それがないと15時間以上もの長い時間起き続けていることができないからです。そして、その抗う力(オレキシンという物質)が一番高まるのが寝る直前の2時間であり、そこを超えた瞬間、人は急激に眠気を感じ入眠していくのではないかと考えられています。

だからこそ就寝時間を常に固定化することが、速やかに入眠できるコツなのです。そして早朝出勤などイレギュラーなケースでは、無駄なあがきはやめて「いつも通りに寝て睡眠時間を1時間削る」ほうが、睡眠の質的にはよいと思われます。

それでも「早く寝ていつもの睡眠時間を確保したい!」という方には、いつもより1時間早く風呂に入り、軽いストレッチを組み合わせて、人為的に眠るための体温を上げることをお勧めします。実際の時間はいつもの就寝時間より早いけれども、脳に「いつもの入眠コンディションですよ」と錯覚させることで、比較的速やかな入眠を実現できるからです。

アンケート調査方法=ランサーズで実施。調査日は2019年7月25日~8月5日。

▼いつも通りに寝て睡眠時間を削るほうが、実はよい

(構成=三浦愛美 撮影=原 貴彦)
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