福井県内で10年ぶりの上場を果たした

ユニネクは、福井市内で業務用ユニフォームの通販業を営む会社だ。正社員90人、パートスタッフ70人で、合わせて従業員は160人を数える。現社長の横井康孝氏は、大学卒業後に民間企業勤務を経て、1997年に父親が経営する会社に入社した。これが現在のユニネクだ。横井社長が入社した当時、従業員は父親と横井社長、それにあと2人だけだった。

同社は横井社長が2007年に事業を継いだタイミングで、業務用ユニフォームのネット販売に挑戦。徹底的にターゲットを絞り込んでニッチトップを目指すウェブサイト作り、商品に精通したスタッフによるきめ細やかな電話サポート、巨大な倉庫に豊富な在庫を確保することで可能にした受注から納品までのスピードを強みに、後発ながらも業界トップに躍り出て、2017年7月に県内企業として10年ぶりの上場を果たした。

2018年末には新社屋に移転し、敷地内に物流拠点を集約。業績は右肩上がりだ。2018年12月期の売上高は40億円で2年連続の2桁増。2023年12月期に100億円の目標を掲げている。

画像提供=ユニフォームネクスト
横井康孝社長(右)は、社員に向けたブログを毎日書き、自ら社内セミナーの講師を務める

地元の大卒に元ニート、Iターン移住者もいる

メンタリングを実施してまず驚いたのは、ユニネクで働く人材の多様さだった。

正社員の男女比は半々。学歴は、福井県立大学など地元大学を中心とした大卒が約5割、残り5割が高卒・専門学校卒・短大卒。出身地は地元の福井という人がほとんどだ。

福井のいわゆる大企業では、東京や関西の難関大学を卒業してから戻ってきたというUターンが目立つ。それに比べると、ユニネクの人材はバラエティーに富んでいる。

たとえば、WEB制作の要のポジションでは25歳の短大卒女性がチームリーダーを務めており、昇格には年齢も性別も学歴も関係ない。やる気のある人をどんどん登用し、また、社員自らリーダーになりたいと手を挙げることも可能だ。

そのほか、元起業家でニート生活を送っていた人や、元海外生活者で福井にIターン移住した人など、ユニークなキャリアをもつ人材を積極的に中途採用している。社内には個性を尊重した自由な雰囲気が漂っている。

均質的で偏差値の高い人材がそろっている会社でメンタリングを行うと、空気を読む能力が高い社員の割合が高いため、逆に違和感を覚えるくらい予定調和に話が進むという現象が起こりがちなのだが、同社の社員は違う。