「お節介なところ」まで踏み込んで思いを伝える

そのために欠かせないのが、社長と社員との想いや価値観の共有だ。

ユニネクでは、社長が社員に向けて毎日のようにブログを書き、社長自ら講師となって定期的に社内セミナーを開催し、月に一度の早朝勉強会を行う。このように折りに触れて、社長の想いや会社のビジョンなどを社員に向け発信し続けている。そして、年に2回社内テストを実施し、社長の想いや会社のビジョンの浸透度合いも含めた社員の理解度を確認している。90人の正社員との社長面談もある。

横井社長は「僕はふだんから、社員に一人の人間としてこうあってほしいという、ある意味お節介なところまで踏み込んで、社長としての自分の想いを発信している」と話す。

「社員たちが自分と違った考え方を受け入れる社風も、その点が深く関係しているように思う。最近でこそ会社のビジョンの共有に力を入れているが、会社の成長期では、社長としての自分の想いを伝える発信のほうが多かった」

こういった発信は社長からの一方的なものだけではない。社員からの発信も積極的に行われており、朝礼でのスピーチや社内ブログなどでの近況報告を欠かさない。ふだんから社長と社員との間で想いや価値観が共有されているため、いざというときの社員の判断軸にぶれが生じないのだ。

画像提供=ユニフォームネクスト
今年の入社式では、風船を使って歓迎ムードを演出した

ボトムアップ体制で社員のモチベーションを上げる

ユニネクでは、2018年10月から新たな試みにチャレンジしている。社員一人ひとりが経営に関わるボトムアップ体制作りだ。一般社員も経営全体を判断できるよう、日々の売上高など経営に関わる数値を可能な範囲で自分の端末から確認できる仕組みを作り、現場から意見や提案を出しやすい環境を整えた。

「これまでは上場を目標にしていたので、いかに早く会社を成長させるかを考えてきた。そのため、最終的な判断はすべて社長である自分が決めてきた。しかし、2017年7月に上場を果たした途端、退職者が数名出たことで、社員一人ひとりが主体性をもって経営に関わるボトムアップ体制作りに挑戦する必要があると考えた」
「葛藤もあった。社員に権限を委譲すると、生産性が下がるのではないか、会社の業績が悪くなるのではないかと悩んだ。しかし、人が決めたことを遂行するモチベーションと自分が最終的に決めたことを遂行するモチベーションとでは、まるで違う。確かに、社長である自分のアイデアのほうが1.5倍の生産性を生み出すかもしれないけれど、社員自身のモチベーションが2倍になるなら、そちらのほうがいいのではないか。今はそう考えている」