「女の子のおっぱい」の話ができる状況を作る
そんな中居が、歌の代わりに注力したのが司会です。
「(17歳)当時から『とにかくバラエティで、何番手でもいいからやりたい』と会社の人にすごく頼んでいたしね。大阪の番組やBSや朝の情報番組のアシスタントとか、二番手、三番手でコーナーをやらせてもらいながら、『おっきな番組の司会をやりたい』とずっと思っていた(※9)」
トークを盛り上げるためには、女のコの話やエッチな話など、従来のアイドルらしからぬ話をしたほうがよい時も出てきます。それでも、司会業に邁進していくことを決めた中居は、「1回ファンのコと敢えて距離を取る時期にしなければいけない(※10)」と考えて突き進んでいくのです。
「“結婚生活いかがですか?”って聞いて、自分の恋愛の話を全くしない司会者は卑怯だなって。だから恋愛話とかエッチな話とか意識して話し始めたの。下ネタとか、女の子のおっぱいの話とか(※11)」
当初は“こないだデートした話”といった類の話をしても、観覧のファンたちの冷やかな反応を感じていた(※10)という中居。マネージャーにカットの指示を出されることもあったといいます。しかし、それを続けることで「女のコの話をしても、ウンともスンとも言われない(※10)」状況を自ら作っていったのです。
結果、SMAPの中でも、最も多く冠番組を持つ存在になりました。25歳の時に、史上最年少で紅白歌合戦の司会者に抜擢、2004年からはオリンピックのキャスターを務めていることからも、その努力が大成功したことがわかります。
苦手を得意にする準備法
戦略があったとはいえ、元は不得意だった領域をどのように克服していったのでしょうか。次は具体的な努力の部分を見ていきましょう。
中居は今でも「事前にちゃんと準備ができないのは、怖い(※12)」「バラエティ番組ではゲストの資料は頭に全部入れておきます(※7)」と語ります。
「プレッシャーを乗り越えるために一番大事なのは、準備をすること。バラエティ番組でも踊りでも、自分の中でシミュレーションし、準備を怠らないよう気をつけています(※13)」
例えば、歌番組を担当しているときは、2日前にはアーティストの情報やCDをもらって、曲を聴き、歌詞も熟読し、自分の感じたことをまとめます。そして、台本を書き込みだらけにしていく(※12)。もちろん音楽番組だけではありません。
「どんな番組でも、あらかじめ台本をもらって、必ず目を通しておきます。前日の夜に台本ができる番組の場合、手元に届くのは深夜になりますが、確認しておきたいと思うんですよ。ゲストの方の資料も目を通しておきたい。僕が質問する場合、どんなことが聞けるかな、と必ず準備しておく。やはり当日、スタジオに入ってばたばたするのは嫌なんです(※2)」
そうして準備をし、本番前にも、司会進行の仕方や、ゲストに話を振ったらこう返ってくる……といった綿密なシミュレーションを頭の中で繰り返し、ひとり集中しているといいます(※14)。