傀儡政権に学生たちとの対話ができるのか
8月17日付の毎日新聞の社説は「香港から中国への犯罪容疑者移送を可能にする『逃亡犯条例』改正案への反対運動に収束の気配が見えない。香港国際空港がデモ隊の占拠でマヒする事態にまで発展した」と書き出してこう主張する。
「民主派の要求に耳を塞ぐ香港政府への批判も高まる。中国の無用な介入を招かぬように香港政府が民主派との対話に動くべきだ」
見出しも「長引く香港の混乱 介入回避が長官の責務だ」である。
もっともな主張ではあるが、いまの香港政府は中国の傀儡だ。学生たちの要求に耳を傾け、対話に動くことなどできまい。
事態は1989年6月の「天安門事件」に近づいている
毎日社説は書く。
「条例案をめぐっては6月の大規模デモ後、林鄭月娥行政長官が事実上、廃案にする考えを表明した。しかし、民主派は完全撤回や林鄭氏辞任を求め、抗議活動を続けている」
「香港市民の多くが憤るのは催涙ガスや暴動鎮圧用の銃を用いた香港警察の過剰な警備行動だ。デモ参加者から多数の負傷者が出ていることに国連人権高等弁務官も国際基準に合わないと懸念を示した」
「独立調査委員会で警察の『暴力』の実態を調べるよう求める意見も多い。林鄭氏が耳を傾ければ、対話の環境も整うのではないか」
「香港警察の過剰な警備行動」や「デモ参加者から多数の負傷者」を考え合わせると、毎日社説が指摘するように「警察の暴力の実態」をつぶさに調べ上げる必要がある。事態は1989年6月の「天安門事件」に近づいているのかもしれない。