事実なら「下請けいじめ」と言われても仕方ない

報酬についても世間の常識からかけ離れていることが白日の下に晒される結果になった。

岡本社長は記者会見で吉本興業とタレントの「取り分」について、「ざっくりした平均値で言っても5対5から6対4です」と述べた。これに対してツイッターなどSNS上でタレントたちが猛反発する事態になった。

吉本所属の芸人、キートンさんはTwitterで、「ギャラ5:5だったのか てことは、私が海外に約1週間行ったあの仕事は、吉本は2万円で引き受けたのか! 優良企業」と投稿。今年6月に解散したお笑いコンビ「御茶ノ水男子」の佐藤ピリオド.さんもTwitterで、「品川で初単独やった時。445席即完して。グッズも完売して。ギャラ2000円だったなぁ。御茶ノ水男子2人で4000円。9割9部9厘:1厘の間違いでは。それを社員さんに抗議に言ったら仕事減らされて。いい思い出だなぁ」と書いた。

事実だとすれば、独占禁止法で禁止されている「優越的地位の濫用」に該当、“下請けいじめ”と認定されかねない事例ではないか。

上場時には「反社と付き合いのある人」がいた

もう1つ、最大の問題は、反社会的勢力との関係だ。吉本興業は2010年に上場を廃止したが、反社会的勢力と決別することが大きな狙いだった、という。前出の朝日新聞デジタルのインタビューで驚くべきやりとりがされている。

「2010年の上場廃止とともにコンプライアンスがうまくいき、それを機に『反社会勢力との付き合いのある人には出て行ってもらった』というが、上場企業の方がコンプライアンスは厳しいのでは。上場時に反社会勢力と付き合いがある人が吉本にいたのか」という質問に対して、大崎会長はこう答えている。

「そうだ。具体的に誰かは言えない。亡くなった人もいる。非上場にして、それまで一般に紛れていた反社会の人や株主は排除できたと思っている。現在ではテレビ局や銀行などが株主なので、反社会の人たちが入る隙はない。もちろん、だからといっていい加減な経営をするというわけではない。そのために監査法人も日本で一番と言われているあずさ監査法人に変えて、コンプライアンスの小冊子も作った。非上場にしたからこそ、しっかりやってこれた」