外の人をチーム内に意図的に招き入れる

ここに待ったをかけ、「このアイデアは絶対におもしろくなる」と言って、形にしてくれたのが、営業経験もあるサイボウズ式編集部のメンバーでした。営業経験からくる感性によってこのアイデアが企画として日の目を見て、結果的には過去最大のヒット記事になったのです。ページビューは1週間で10万以上。これまでの企画にないような伸びでした。

藤村能光『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する「未来のチーム」の作り方』(扶桑社)

編集部は企画を作るコアの役割を果たしますが、企画のタネのすべてを編集部がまく必要はありません。特にオウンドメディア運営に必要な企画のタネは、編集部以外の社員が持っていることも少なくありません。オープンな環境と誰もが書き込めるラフさ、そしてチームで物事に取り組むというスタンスが揃えば、企画のアイデアは誰でも出せる可能性があります。そして、思いもよらない仕事の成果につながっていく。それを実感した瞬間でした。

「チームの外の人」をはねのけない。むしろ、外の人をチーム内に意図的に招き入れて、良き突然変異を巻き起こす。これぞ、オープンな情報共有とチームで仕事をすることの醍醐味です。

こうした試行錯誤を経て、僕たちはチーム作りに取り組んできました。チームにはいろいろな個性があるという前提のもと、それでもみんなでひとつの目標に向かうにはどうすればいいのか? みんなからさまざまなアイデアを引き出すにはどうしたらいいのか? それを自分たちで実践するなかで感じた苦労や発見を、働き方という切り口を通して読者に見せるのが、サイボウズ式というオウンドメディアなのです。

藤村 能光(ふじむら・よしみつ)
サイボウズ式 編集長
1982年大阪生まれ。神戸大学を卒業後、ウェブメディアの編集記者などを務め、サイボウズ株式会社に入社。製品マーケティング担当とともにオウンドメディア「サイボウズ式」の立ち上げにかかわり、2015年から編集長を務める。メディア運営や編集部のチームビルディングに関する講演や勉強会への登壇も多数。複業としてタオルブランド「IKEUCHI ORGANIC」のオウンドメディア運営支援にも携わる。趣味はコミュニティ活動とサウナ。
・Twitter:https://twitter.com/saicolobe
(写真=iStock.com)
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