人手不足の中小企業に難題
「働き方改革」の一環で、2019年4月1日から年次の有給休暇(年休)に新ルールが適用される。本来、年休は労働基準法に定められているもので、「入社後6カ月以上が経過し、その間の出勤率が8割以上に達している従業員」に、原則として10日間の有給休暇が与えられる。勤続期間によって付与日数が増え、6年6カ月以上になると20日間に拡大する。これは正社員だけに限らず、契約社員や派遣社員、パートタイマー、アルバイトも所定の労働日数に達していれば与えられるもの。だが、エクスペディア・ジャパン「有給休暇・国際比較調査2018」において3年連続で世界30カ国中ワーストだったように、日本の有休取得率は非常に低く、義務化に踏み切ることになった。
「10日以上の年休が付与される労働者に、年5日間は必ず取得させることを企業に義務づけました。違反すると、使用者に30万円以下の罰金という罰則規定も設けられています」
こう説明するのは、社会保険労務士の佐佐木由美子氏。義務づけられた5日分については、本人の希望を聴いたうえで、取得させる日時を会社側が指定する。ただでさえ人手不足の中小企業には難題だが、「義務を守らないと人材が流出する恐れもあるので、きちんと対応せざるをえない」(佐佐木氏)のが現実だ。
(写真=時事通信フォト)