チームの力を引き出すには、なにが重要なのか。オウンドメディア「サイボウズ式」では、オンラインに雑談スペースをつくることで、最大のヒット記事が生まれたという。サイボウズ式の藤村能光編集長が、その背景を解説する――。

チーム作りは「雑談」で決まる

チーム内のコミュニケーションの流量を増やすには、コミュニケーションツール内を仕事のことだけを語る場所にしないほうがいいでしょう。サイボウズ式編集部では、グループウェアのスペース内に「藤村のつぶやき」といった個人が思ったことをつぶやく場所も用意しています。ここでは仕事とは関係のない、たわいないつぶやきも大歓迎です。編集部メンバーは、みんな独自に自分専用の「つぶやき掲示板」を設けています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/daruma46)

このつぶやき掲示板もオープンな状態で、編集部と社員みんなが閲覧できるようになっています。雑談タイプのつぶやきのほうが盛り上がることもあるぐらいです。だって、雑談や井戸端会議って楽しいじゃないですか。話をしていると、すぐに時間が過ぎてしまうような感覚は、誰もが体験したことがあると思います。それをオンラインスペース上でも実現したい。言うなれば「オンライン雑談」です。

最近は、チームにおける「雑談」の重要性が増していると感じます。マネジメント手法のひとつに、マネジャーとメンバーが定期的に話し合う場を設ける「1on1」ミーティングがあります。第1章でも触れた通り、サイボウズでもこの「1on1」のミーティングを導入していて、週1回、マネジャーと各メンバーが話し合う時間をとるようにしています。サイボウズではその時間を「ザツダン」と呼んでいます。

「ホウレンソウ」よりも欲しいのは「ザッソウ」

ザツダンでは、その名の通り雑談をします。目的は「相手を知ること」です。そのため、話の内容は仕事以外に休日の話やプライベートな報告など多岐にわたります。ザツダンは、チームのみんなの人となりを知ることに直結します。

僕の場合、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」よりも「ザッソウ(雑談・相談)」を重視する考え方をしています。これは、ソニックガーデン代表の倉貫義人さんが提唱している考え方で、この言葉に僕は非常に感銘を受けました。こうまとめるとやや乱暴かもしれませんが、「雑談はチームマネジメントによく効く」と思いますし、結果としてチーム内での心理的安全性が生まれることにつながっています。

そんな雑談をオンラインの場でも活発に行うというのは、「マネジャー対メンバー」という1:nの場を、「チームメンバー:チームメンバー」というn:nの関係性に適用することでもあります。「その人を知ること」が、僕だけではなくチーム全体に広がっていく効果があるのです。