情報共有の場はいつでもフルオープン
情報共有の場をフルオープンにして、投稿やコメントのハードルを下げ、誰でも書き込みやすい雰囲気をつくることができれば、自然とアイデアが集まってきます。こうした場をつくるなかで僕がとりわけ大事にしているのは、思いつきを投稿したり、直接業務とは関係のない雑談や井戸端会議のようなやりとりです。むしろ、仕事に直接関係ないことでも、お互いに情報を共有し合うことを推奨しています。
企画系の仕事であるなしにかかわらず、自分だけでは思いもつかなかったようなアイデアがふと生まれるときがあります。そして、こういったアイデアは、自分以外の誰かと雑談や井戸端会議をしているときにふと思い浮かぶことが少なくないのです。
企画の仕事にかかわる人ならば、『アイデアのつくりかた』(ジェームス・W・ヤング著)という本を知っているかもしれません。この本では、アイデアはゼロからは生まれない。既存のアイデア同士の掛け合わせで新しいアイデアが生まれるということを説いています。アイデア同士が掛け合わさってこそ、新しいアイデアが生まれます。とすれば、掛け合わせのアイデアや切り口の数が増えれば増えるほど、新しい価値を生み出すアイデアが出てくるはずです。
最大のヒット作は、営業部からやってきた
思いつきのアイデアを出す、井戸端会議のようなザツダンをオンラインで推奨することは、このアイデアの掛け合わせを誘発するようなものです。しかも、仕事に直接関係のない話題にこそ、きっかけがあったりします。人の数だけ視点が存在し、他人のアイデアや切り口は自分が持っていないものもたくさんあります。それをも共有することで、新しい価値がチームから生まれる可能性が出てきます。
他部署から寄せられるアイデアに、編集部のメンバーがアイデアを掛け合わせて新しい価値を生み出した企画はいくつもあります。サイボウズ式の最大のヒット記事がこちらです。営業チームのメンバーが、同僚に代わって子守をした様子を描いています。
インセンティブの達成など、個人の成果に重きを置きがちな営業という職種において、チームで営業することの大切さを伝える内容でした。SNSでも大量にシェアされ、「いいね!」数は2.1万を超えました(2019年7月現在)。
驚くべきは、この企画の素案を書き込んでくれたのは、営業本部の社員でした。そして、最初にこのアイデアを書き込んでもらったとき、編集長である僕は、この切り口のおもしろさに気づいておらず、スルーしてしまいました。