契約書問題、ギャラ配分……「昔のまま」は通用しない

吉本側も色々な思惑があったのであろう。宮迫さんや、関連する芸人を守るために、宮迫さんたちの会見をコントロールしようとしていたのかもしれない。とりあえず様子を見ることが芸人を守ることだと判断したのかもしれない。しかし、このような経営判断は時代の流れを読み間違えた。危ないと思うことほど、きちんとオープンに会見をすることが、現代の危機管理の鉄則だ。

さらに、6000名ともいわれる契約芸人をコントロール・統治するために、どうしても言うことを聞かないタレントには厳罰を加えて、組織を束ねようとしたのかもしれない。芸人個人の言い分をそれぞれ認めていては収拾がつかないと判断したのかもしれない。しかし、これも一種の恐怖統治であって、今の時代には沿わない。

芸人を守ろうとしたところから出発しながら、結局、違法行為をしていない芸人を斬り捨てるという事態に陥ったというのであれば、それは本末転倒である。

吉本側が芸人を守るために色々と考えていたにせよ、そのやり方が時代に合わなかったことが、今回の問題の根本原因だ。

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芸人あっての吉本興業である。もちろん芸人も吉本興業があるから、仕事ができる。両者がウィン・ウィンの関係になるためには、今の時代、しっかりとした法的関係の整備=コンプライアンスの確立が必要である。

吉本側は、会社員や芸人が反社会的勢力に関わらないことを宣言し、それを実行するためのコンプライアンスの確立に力を入れるという。これは対外的なコンプライアンスだ。しかし、このような対外的なコンプライアンスを確立しようと思えば、組織内の内部的なコンプライアンスもしっかりと確立しなければならない。今の吉本に欠けているのは、その視点だ。

(略)