反社会的勢力との接触を、会社員や芸人に完全に断ち切らせるというコンプライアンス意識を醸成するためには、まずは組織内部でのコンプライアンス意識をきっちりと醸成しなければならない。その第一歩が、会社と芸人との権利関係の整備である。これくらいのコンプライアンスを実践できない会社が、反社会的勢力との関係を断ち切るコンプライアンスを確立できるわけがない。
岡本社長は、芸人さんたちとの信頼関係を築くことが第一だと言っていた。芸人さんたちは、ギャラの配分方法についても不満を持っているようだ。昔は、昔のやり方で収まっていたのであろうが、個人の権利意識が高まってきている現代において、昔のやり方はそのまま通用しない。それが時代の流れというものだ。
吉本の大崎洋会長は、新聞各社のインタビューに応じ、契約書がないやり方が吉本には合っていると答えていた。しかしそれは、現代社会ではもう通用しないだろう。これだけの問題が生じたのに、契約書をまだ作らないというのは大問題だ。特に、会社の方から一方的にギャラが配分できたり、契約解消ができたりする契約構造は大問題だ。場合によっては独占禁止法が適用されることもあるだろう。
この点の権利関係の整備、透明化、書面化ができなくて、会社と芸人さんたちの信頼関係を強化することなど、もはや不可能であろう。吉本側は、芸人ファーストで行くと宣言した。そうであれば、まずは会社と芸人の間の権利関係をしっかりと整備し、書面化することに努めるべきだ。ここは吉本の経営陣も、素直に時代が変わったことを認めた方がいい。
そしてくれぐれも、芸人さんたちは、やり過ぎにならないように注意して欲しい。経営陣の非に釣り合う攻め方を心掛けて欲しい。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.160(7月23日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は特別増大号《【参院選総括】自公圧勝・負けを認めない者は政権を獲れない/【激震芸能界】流れを一変させた宮迫さん・田村亮さんの謝罪会見》特集です。