私は車を運転しているとき、なるべくトラックの近くに寄らないようにしている。というのも、任意保険に入らずに自賠責保険だけのトラックが多いからだ。「高い保険料を払うより、事故のたびに示談していったほうが安くつく」というのが彼らの言い分。しかし、トラックが一度事故を起こすと、大勢の人を巻き込む可能性が高い。となると、運送会社の財力によっては十分な示談金を得られず、泣き寝入りになる公算が高いのだ。
このほか私たちの日常生活に縛りをかけるものとして忘れてはならないのが、都道府県や市町村が定める「条例」だ。
たとえば、神奈川県は10年4月から受動喫煙防止条例を施行する。学校や病院などの公共施設だけでなく、飲食店や宿泊施設などの民間施設も対象で、利用者が受動喫煙しないよう配慮する責務を負う。従わない施設には2万円、喫煙者には2000円の過料が科せられる。
また、奈良県は06年に少年補導条例を施行し、深夜徘徊、喫煙、飲酒などの「不良行為」をした場合、警察施設で最長12時間保護できるようにした。愛知県は09年7月1日から青少年保護育成条例を改正し、18歳未満の出会い系喫茶の利用を禁止して、悪質な違反行為をする店には懲役刑も科すようにしている。一方、京都ではコンビニエンスストアの深夜営業規制が議論されている。
そうした動きを見ていくと、行政や警察の権力拡大につながりかねず、首を捻らざるをえない。実際に神奈川のケースでは、強い反発を受け、大型飲食店などへの罰則の適用は1年猶予され、小規模飲食店などは努力義務にとどめることで落ち着いた。しかし、一度施行されると、「知らなかった」では済まされない。自分の身は自分で守るしかないのだ。