自分だけのサードプレイスを持つこと
ただし、協働というあり方は、長い時間をかけた関係性からしか生まれにくいものです。なぜなら、自分の資産価値がどんどん目減りしていく段階になってから急に関係を築こうとしても、そんな人と協働してくれる人は多くはないからです。
人が他者と長い間にわたり関係を築いているときに、貸し借りがイコールである関係性なんてまずありません。誰もが誰かに貸しがあり、誰かに借りがあるのがむしろふつうのことでしょう。そうした関係を、いわばお互いに支え合いながら長期にわたって続けていることが大切なのです。
そこで、僕はいつも大学で教える学生たちに、「自分が上の世代からもらったものは、必ず下の世代にも受け渡していこう」とも言っています。そうして下の世代にまわしていくことで、その時々の変化を乗り越えられる、世代を超えたサードプレイスを作ることができるかもしれない。
その場所で多様性ある人たちが協働できれば、互いにメリットを生み出せるのはもちろんのこと、人生のリスクヘッジの場にもなるかもしれません。
そんな自分だけのサードプレイスを作っていく姿勢が、これからの時代を生きていくうえでは大きな鍵になると思います。
関西学院大学准教授、社会学者
1976年、福岡県生まれ。2004年東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。国際大学GLOCOM助手などを経て、09年関西学院大学助教、10年より現職。専攻は理論社会学。『サブカル・ニッポンの新自由主義』『ウェブ社会の思想』『カーニヴァル化する社会』など著書多数。06年より「文化系トークラジオLife」(TBSラジオ)のメーンパーソナリティをつとめるなど多方面で活躍。