話し方も教養を感じさせる要素

そういうお客にかぎって、知識は豊富なのに話してみると「知識として知っているだけで、ストーリーになっていないのでおもしろみがない」と言う。難解な言葉を並べただけで、結局何を言っているのか理解できないのであれば、知識をひけらかしているだけの「教養バカ」と言えるだろう。

それではどういうお客が好感度が高いのだろうか。

「知識を深く理解しているお客様は、女の子に合わせて自分の幅広い知識の中から興味のある話題を上手に取り出してくださいます。こちらが『もっと教えてください』とお願いしたくなるくらい、いつの間にか話に引き込まれてしまいます。そういう人は、ご自分のほうが詳しい事柄でも、私たちがちょっと知ってることに対して『おっ、すごいね、素晴らしい!』と褒めてくださるので嬉しくなってしまいます」(とうかママ)

さらにとうかママは、話し方も教養を感じさせる重要な要素だと話す。

「『若い君たちにはわからないだろうが、自分は大変な仕事をしていて、頑張っているのだから、俺の話を聞くのはあたりまえ』といった威圧感があって、女の子を軽く見ているような話し方をする人には引いてしまいます。声のトーンも大切で、同じテンションで話し続ける人もいますが、解説者みたいでお酒の席では頭に入ってきません。せっかくいろいろなことを知っているのに相手に届かないのはもったいないと思います」

知識の重み、それに品性、品格を備えている人は、自身のことはあまり話さないという。

「自分が話したいとき、自慢したいときでも、相手のことを思って、話したいことが10あれば、それを我慢して1に抑えて話す方は気遣いのできる素敵な人です」

気遣いと優しさのない人は酒席でも評価は低い。銀座のクラブは自分を映す鏡。そこにどんな自分が映っているのか確かめるために、飲みに通うのかもしれない。

(撮影=小川 聡)
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