制裁関税などで中国を押さえつけるトランプ政権の発想は、かなり不安だ。第4弾の制裁関税の内容公表は、企業経営者のマインドを悪化させている。それではアニマルスピリッツを発揮し、新しいことにチャレンジすることは難しくなる。
また各国企業は米国の関税を避けるために、中国の生産拠点を別の国に移そうとしている。それにはかなりのコストが伴う。その影響を少しでも緩和しようとすると、企業はコストを販売価格に転嫁せざるを得ない。アップルが価格競争に対応し、持続的な成長を目指すことも難しくなるだろう。
第4弾の対中制裁関税はグローバルに張り巡らされたサプライチェーンを直撃し、企業の活力を削ぐ恐れがある。それは今後の世界経済にとって無視できないマイナス要因だ。
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。