※本稿は、堀江貴文『僕たちはもう働かなくていい』(小学館新書)の一部を再編集したものです。
「仕事が奪われる」次元の話ではない
身の回りの仕事や生活は、すでにAIやロボットによって大きな変化がもたらされつつある。高度なパーソナルモビリティやヒューマノイド、アンドロイドの登場により、数年前には誰も信じなかった、SFのような世界で生きていく姿も現実味を帯びてきた。
私たちにいま問われているのは、「仕事が奪われる」とかいう次元の問題じゃない。
AIやロボットによってリデザインされる世界を、どう生きるかという話だ。
間違いなく、いまある仕事の大半は、AIやロボットに奪われていく。日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズの共同調査によると、人が現在、携わっている約2000種類の仕事のうち、3割はAIロボットへの置き換えが可能だと判明したという。日本に限定すると、製造・建設・運搬など従事者の多い仕事のうち、5割強の業務を、ロボットによって自動化できることも明らかになっている。
600人のトレーダーは自動化システムに置き換わった
ホワイトカラーも安泰ではない。
金融機関でも自動化の波は押し寄せていて、事務職ではファイル作成など6割以上の仕事をロボットに代替できる。2000年、米ゴールドマン・サックスでは600人いたトレーダーが株式売買の自動化システムに置き換わり、現在では数人がオフィスに残っているだけだという。
株式売買の業務における複雑な数学的判断は、AIのディープラーニングのお得意の領域で、人間の頭脳が敵うはずがない。世界的投資家のジム・ロジャーズも「AIが進化すれば、証券ブローカーなど株式売買に関わるプロは消える」と断言していた。
投資だけでなく、専門性の高い分野にも、AIロボットの進出は進んでいる。近い将来、一部の有能な医師が、世界中の患者の診断・手術を、遠隔ロボットを介して手がけることが予測されている。そしてヤブ医者は、きれいさっぱり消え去る。
大阪大学教授の石黒浩さんは、「膨大な試薬のデータ分析が必要な製薬業は、人間の研究者よりもAIの方が優れている。そのうちAIが、ノーベル生理学・医学賞を受賞するだろう」と予言している。私も同じ意見だ。