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アマゾン倉庫内の写真が出回らない理由

日本企業は世界的には特殊な存在だが、基本的に企業は従業員の雇用を無駄に守ろうとはしない。

例えば、アマゾンについては以下の状況が伝えられている。

《アマゾンの倉庫内部の写真が世間にあまり出回っていないのに気づいた人はいないだろうか。それはなぜなのか。
あまりにも衝撃的で、不安をかきたてる光景だからだ。
安全が守られていないとか? 従業員を酷使しているとか?
どちらも違う。不安をかきたてるのは、従業員を酷使するどころか、従業員がいないことなのだ。ジェフ・ベゾスのビジョンには、人間のための仕事はないのだ。》
(『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』スコット・ギャロウェイ/著、渡会圭子/訳、東洋経済新報社)

同書には、ほかにも、

《おそらく私たちの社会は、中産階級を維持する方法を見つけなければならないという重荷を背負うことをやめてしまったのだ。》

との分析がなされている。

明察だろう。AIやロボットのデザインする社会における、「GAFA」の偽らざる態度の本質を鋭く突いた言説だ。

「人員の省力化」には筋が通っている

フェイスブックとグーグルはメディアを、アップルは通話・通信を支配した。アマゾンは小売業界の支配に事実上、成功している。

この快進撃を支えたのは、AI技術を中心とするテクノロジーだ。多くの労働者の雇用創出ではなく、人々にとって何が求められていて、何を的確に与えられるのかを考え抜き、テクノロジーを駆使したサービスの最適化を推進してきた。

そのビジネス戦略において、人員の省力化が進められるのは、まったくもって筋が通っている。グローバル企業の側としては、ロボットが代わりにやってくれる仕事を、順序よく置き換えているだけだ。